ZMM0706 ・ゼール音楽事務所
室井摩耶子/モーツァルト:魂の《アダージョ》

室井摩耶子のコンサート当日のトーク  (収録:20分06秒)
モーツァルト:ロンド イ短調 K.511    (収録:10分11秒)
       アダージョ ロ短調 K.540 (収録:16分09秒)
       ピアノソナタ イ短調 K.310 (収録:20分42秒)
《アンコール》
ショーマン:子供の情景 作品15より「トロイメライ」(収録:1分52秒)

 

【レコード芸術】誌評 【準特選】 2007年9月号

 このところ80歳台も半ばに達しながら、文字どおり「超ヴェテランの至芸」と呼ぶほかない芸境を世に伝えるCDを発表している室井摩耶子のモーツァルト・アルバム。本年2月、東京オペラシティ・リサイタルホールにおける演奏会をそのままと録ったライヴ盤で、初めに20分間ほどピアニスト自身による「私とモーツァルト」といった内容のトークが収められている。さすがに興味ぶかい、示唆に富む語りであるーこうしたトークは、やはり映像を伴うDVDのほうがいいかな、と思うのは事実だが。つづいて演奏に入り、まずは<ロンド>イ短調(K511)、続いて<アダージョ>ロ短調(K540)、そして<ソナタ>イ短調(K310)全3楽章とつづき、アンコールには趣を変えてシューマン<トロイメライ>が奏される。すなわちモーツァルト3曲とも短調の哀愁に富んだ作品をあえて選んだリサイタルである。<ソナタ>では指のめぐりが必ずしも絶好調とは言えぬところがあるとしても、身についたタッチのニュアンス豊かな美しさは、やはり嘆賞に値するもの。とりわけ<アダージョ>は、とくに弾きたかった曲とピアニストが述懐されるだけに、刻々と心を打たずにはいない時が流れ、音符の、そして音符間のま間の全てが胸に沁み込む。「魂のアダージョ」としたタイトルに誇張はない。

濱田滋郎

 今年2月10日に東京オペラシティ・リサイタルホールで行われたコンサートのライヴ。すべてモーツァルトの短調作品が収録されている。このアルバムがユニークなのは、冒頭におかれた室井氏のトークが20分余り、全体のおよそ3分の1を占めていることだ。しかもそれがとても面白い。モーツァルトの音楽の魅力を語っているのだが、昨年来アーノンクールに魅了されていると聞いて、思わず膝を打った。昨年の来日公演におけるモーツァルトの<レクイエム>をテレビで見て、その引き込まれるばかりの音楽の求心力に夢中になったという。なにしろ20分のトークだから、度々ピアノの実演を交えてそれ自体としても聴き応えがある。

 さて、本編の演奏だが、期待が大きすぎたためか、正直言って少々肩透かしを食った思いだった。音楽的対話に登場する音型にアーノンクールのそれのような際立った性格が与えられているわけでもないし、ドラマティックでもない。でも当然なのだ。これはあくまでも今の室井氏の演奏なのだから。<ロンド>イ短調は曇りのない音色のなかに様々な情念を感じさせ、<アダージョ>はさらに物思いに沈んでときに悲しみの声を上げる。デュナーミクや情念の幅は広いとはいえないものの、その範囲で多様な性格をもち、同時に静謐で内面的な美しさを湛えている。<ソナタ>イ短調の疾走する緊迫した悲しみは和らげられ、緩徐楽章には<アダージョ>同様、心からの歌を聴くことができる。ライヴなのでミス・タッチが結構あるが、常に前向きに歩み続ける室井氏の今のモーツァルト観と演奏を知ることのできる貴重な記録である。

那須田務

[録音評]

2007年2月、東京オペラシティ・リサイタルホールでのライヴ録音。冒頭に演奏者のトークが20分ほど入っている。このトークの部分を勉強として聞きたいと思っている人は多いはずだ。トークが終わると演奏が始まるが、ピアノの音色が美しく、つやっぽく、しっとりしたモーツァルトの音色の美しさに、次の50分間、魅了される。 。

三井 啓


【音楽現代】誌評 推薦 2007年9月号 

 2007年2月10日東京オペラシティ・リサイタルホールでのライヴ録音。レクチュア・コンサートなので、室井摩耶子のお話も収録されている。曲は「短調のモーツァルト」特集で、それにアンコールがシューマンの「トロイメライ」。独特の温かな音と柔和な表情で、作品の厳しい造型も決して冷酷非情には響かない。イ短調のロンドK511は、しっとりした音によるロマンティックな表現の含蓄に飛んだ演奏で、じっくり心にしみ入ってくる。ロ短調のアダージョは、ほとんど極限にちかいまでの少ない音に託された思いが実に濃密で、若者には到底不可能と思わせる演奏だ。ソナタ・イ短調K310もまた内的世界の充実した練達の表現で、峻厳な演奏だが聴き手を潤す清らかさがある。ライヴ録音というのは、特別な機会のドキュメントや、よほど特別な演奏でないと繰り返し聴くのには適さないものだが。

青澤唯夫


【CDジャーナル誌】誌評

室井摩耶子85歳のときの演奏会のライヴ録音。ライヴってところが凄い。最初にモーツァルトの作品についてのトークがあり、これがわかりやすく面白い。勉強になりました。それに演奏がまた、瑞々しい。弱音での指のコントロールも万全で美しい。

田中 明 


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