photo 小島由起夫

 

室井 摩耶子 (むろい まやこ) ピアニスト《プロフィール》

1921(大正10)年4月18日生まれの102歳。6歳よりピアノを始め、小学4年生から高折宮次氏に師事。41年東京音楽学校(現・東京芸大)を首席で卒業、研究科に進み、クロイツァー教授に師事、43年に修了。

1945(昭和20)年1月(23歳)、日比谷公会堂での日響(現・N響)ソリストとしてデビュー。終戦後、本格的にリサイタル活動を開始。サティやデュカスなど多くの作品を日本初演。

1955(昭和30)年(33歳)、大ヒット映画『ここに泉あり』に実名ピアニスト役で出演。

1956年(35歳)、モーツァルト「生誕200年記念祭」に日本代表としてウィーンに派遣される。同年、第1回ドイツ政府給費留学生に推挙され、ベルリン音楽大学に留学。ベルリンを拠点に、ハウザ−教授、ロロフ教授、ケンプ教授に師事し研鑽を積む。

1960年(39歳)、世界最高峰ケンプ教授の推薦でベートーヴェンを4曲並べたリサイタルをベルリンで開催。まれに見る好評でヨーロッパにおける地位の第一歩を築いた。以降、海外13カ国で演奏を重ね、日本国内より国外に於いて名声を高め、64年(43歳)にはドイツで出版の『世界150人のピアニスト』として紹介される。

レパートリーは、ケンプとロロフ直伝のベートーヴェンを主軸に、シューベルト、バッハ、ブラームス等を得意とし、その深い解釈には定評がある。

1980年(59歳)に帰国後も、日本を代表する名演奏家として活躍。95年(74歳)から始めた「音楽を聴きたいって何なの?」と題した「トーク&コンサート・シリーズ」は26回にも及ぶ 。その円熟した演奏は評判高く、80歳を超えピアノコンチェルトも協演。井上道義指揮、02年(81歳)東フィル(東京オペラシティ)、06年(85歳)神奈川フィル(神奈川県立音楽堂)と、満員の聴衆に深い感銘を与え、各方面より絶賛を博す。

その活動は、テレビ・ラジオをはじめ新聞・雑誌でも多数紹介され、その度ごとに大きな反響が広がっている。

NHKでは、06年(85歳)「芸術劇場」特集〔生涯現役〜私のクラシック音楽道〕、07年(86歳)「ラジオ深夜便」〔人生私流〕、09年(88歳)「米寿記念コンサート」は全国ニュースで紹介され、同年「ラジオビタミン」、10年(89歳)「あさいちばん」、総合テレビ「生活ホットモーニング」、12年(91歳)「こんにちは いっと6けん」等々に出演。 17年(96歳)には、NHK-BSプレミアム 「今夜はとことん!ピアノと日本人」、NHK-FM 「90歳。クラシック女子 〜昭和・平成わたしの音楽道」等に出演。19年11月、98歳で出演した長野県川上村でのトークコンサートは、「NHKニュースウオッチ9」「NHKサイカルジャーナル」で全国紹介された。

民放では、08年5月(86歳)テレビ東京「主治医が見つかる診療所」に出演、脳の海馬が60歳と評価された。09年(88歳)フジテレビ「どうも☆キニナル」、11年(90歳)テレビ朝日「たけしの健康エンタテインメント!みんなの家庭の医学」では3時間番組中1時間にわたり彼女の身体を徹底的に分析、大変な反響を呼ぶ。12年5月(91歳)、テレビ朝日「モーニングバード」は高い視聴率となり、その日の「ツイッター」上位にランクインされた。

13年5月(92歳)には、テレビ朝日「徹子の部屋」に、33年ぶりに出演、さらに20年5月(99歳)にも出演。同年9月には「日経ミューズサロン第500回記念ガラ・コンサート」に出演し、日本の音楽界を代表するレジェンド達と饗宴。

21年4月7日(99歳)、「第509回日経ミューズサロン室井摩耶子 百寿記念スペシャル・コンサート」に出演。
この模様は、NHKニュース、NHK WORLD-Japanで日本と世界に発信された。

21年12月29日(100歳)、NHK視点・論点「100歳 ピアノと共に」に出演。

2006年〜17年にCDを8枚リリース、「レコード芸術」《特選・準特選》や「音楽現代」《推薦盤》と推奨され、今なお健在ぶりを示している。

著作では、1971年(50歳)、「ピアニストへの道」(音楽之友社)を発表。以降執筆活動も盛んに行っている。75年(54歳)「ママ、僕ピアノ嫌い!」(芸術現代社)、85年(64歳)「ひびきを求めて〜ピアニストからのメッセージ(音楽選書)」(音楽之友社)、2002年(81歳)「チェルニーってつまらないの?」(音楽之友社)等がある。

近年の著作では、13年(92歳)「明日を もっと素敵にする 心の持ち方」(マガジンハウス)、13年(92歳)「わがままだって、いいじゃない。92歳のピアニスト『今日』を生きる」 (小学館)、17年(96歳)「96歳のピアニスト」(小学館)、18年(97歳)「毎日、続ける。97歳現役ピアニストの心豊かに暮らす習慣」(河出書房新社)、22年(101歳)「マヤコ一〇一歳」(小学館)の5冊が発刊されている。現在も、月刊ショパン誌に、長期連載エッセイ「ピアニストの呟き」を毎月執筆している。

2012年7月(91歳)、永年にわたり音楽文化の発展に貢献した功績により「第22回新日鉄音楽賞《特別賞》」(新日鉄文化財団)を受賞。

2019年3月(97歳)、永年にわたりピアニストとして活躍するとともに、音楽文化の普及に努め我が国の芸術文化の振興に多大な貢献をしている功績により「平成30年度 文化庁長官表彰」を受ける。

21年10月(100歳)、「社会文化の興隆に功績があった方に対してその功績をたたえ、都民敬愛の対象として顕彰する」として、東京都より「名誉都民」称号を授与される。

ピアノと共に90余年。深い醍醐味の音楽は、年齢とともに益々前進を続けている。

 
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